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「癌取扱規約」と「がん診療ガイドライン」

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我が国では、社会の高齢化もあり、がんが相変わらず死因の第一位であるが、各種のがんの診断、治療、統計などに対しては、「癌取扱規約」と「がん診療ガイドライン」が基本的なルールとなっている。

 

「癌取扱規約」には、カルテ記載・画像診断・手術記録・病理診断などで用いられる専門用語が記載されており、がん診療の共通言語となっている。

最も古く発行されたのが1962年(昭和37年)の「胃癌取扱い規約」で、その後乳癌、食道癌、大腸癌、甲状腺癌、肺癌、膀胱癌、膵癌、胆道癌、悪性骨腫瘍、腎癌、原発性肝癌、睾丸腫瘍、悪性軟部腫瘍、前立腺癌、子宮体癌、子宮頸癌、絨毛性疾患、小児腫瘍、卵巣癌、腎盂・尿管癌、副腎腫瘍、脳腫瘍などが発行(金原出版)され、がん医療の進歩などを反映して数~十数年毎に改訂されている。現在の「胃癌取扱い規約」は第14版(2010年)である。

腫瘍の国際的な組織型分類としては米軍病理学研究所(AFIP: Armed Forces  Institute of Pathology)アトラスシリーズとともに、世界共通分類としての役割を果たしている国際がん研究機関(IARC: International Agency for Research on Cancer)が定めた世界保健機関(WHO:World Health Organization)分類があり、また、悪性腫瘍の国際的な病期分類としては、国際対がん連合(UICC:Union for International Cancer Control)が定めたTNM分類があり、いずれも数~十数年毎に改訂されている。我が国の「癌取扱規約」もWHO分類やTNM(T:原発腫瘍、 N:所属リンパ節、 M:遠隔転移)分類を採用しているが、胃がんや大腸がんなどのように基本として取り入れている臓器もあるが、乳がんのように改訂されたWHO分類第4版(2012年)と大きなギャップを生じている臓器もある。今年(2013年) 子宮頸がんと体がんの取扱規約が16年ぶりに改訂されたが、来年春には婦人科腫瘍の改訂WHO分類が出版予定で、その内容が注目される。

 

治療方針に関しても当初は「癌取扱規約」に記載されていたが、現在では「がん診療ガイドライン」が担っている。2001年(平成13年)の「胃癌治療ガイドライン」作成から各種ガイドラインの作成が行われ、現在、日本癌治療学会のホームページにおいて、17臓器1領域のガイドラインが公開されている。診療ガイドラインの普及は、がん医療の質の底上げと均霑化(きんてんか)に大きな役割を果たしている。

注)腫瘍(neoplasia) には良性腫瘍と悪性腫瘍があり、悪性腫瘍(がん) には上皮性の癌腫(carcinoma) と非上皮性の肉腫(sarcoma) がある。

 

 

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