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CTC(Circulating Tumor Cells:(血中)循環腫瘍細胞)|これって何?バイオコラム 第7回

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こんにちは。もも太です。いつも当コラムを読んでくださっている皆様、誠に有難うございます。第1回目の「リキッドバイオプシー」のコラムで紹介しましたCTC測定について、思いがけなくもう少し知りたいというリクエストがありましたので、

第7回目は『CTC(Circulating Tumor Cells:(血中)循環腫瘍細胞)って何?』です。

当社で行っているCTC受託測定サービスは、血中に漏れ出た腫瘍細胞の数を測定しています。血中には赤血球、血小板、白血球などの様々な細胞がありますが、その数はなんと1立方ミリメートル中に500万個以上にもなり、その中から1個あるかないかの腫瘍細胞を見つけ出すのは非常に難しいので、高価な精密装置を用いてスキルを身につけた専門の技術員が測定を担当しています。

ご存知のように、「悪性腫瘍(以下、がんといいます)」は、我が国での死亡率第一位の重大な疾患です。いまや2人に1人の割合でがんになるともいわれており、この疾患をいち早く発見し、重篤になる前に対処することが最大の対策といえます。検診などによるがん早期発見の重要性はここにあります。一方、不幸にも進行したがんが発見され、治療に長期間を要することになった場合においては、第5回のコラムでご紹介しましたコンパニオン診断による個別化医療の登場とともに、抗体医薬などの画期的な薬剤開発も進んでおり、がんの治療方法に多くの選択肢が増えている時代にもなってきているのも事実です。

原発巣でがん細胞が増殖すると、その一部が血管内へ漏れ出すことがあり(CTC測定とは、このCTC数をカウントするものです)、血中を流れるCTCが他の臓器に居座り、その場所でまたがんが増殖することがあります。これが「がんの転移」です。がんの転移のメカニズムの解明にCTC測定は大きな役割を担っています。

少し科学的になりますが、転移の開始には、がん細胞間の細胞接着を喪失するとともに浸潤能を増強し、脈管侵襲を介して血中へ浸潤するという現象が発生することが知られています。これは、がん細胞自身が浸潤するという能力を有するためであり、EMT(上皮間葉転換)によって引き起こされます。EMTとは、Epithelial-Mesenchymal Transition/or Transformationの略で、元々上皮性(Epithelial)の性質を持つがん細胞が、その性質を変化させ、間葉系(Mesenchymal)の性質を持つ細胞となる現象です。こうなるとがん細胞自身は、より遊走性や浸潤性の性質を獲得するようになり、あたかも自発的に生き永らえようと家出をし、血流に乗って新しい住処を求めて移動し、居場所を決めたらまた姿を変えて(今度は間葉上皮転換して)、その場で増殖をはじめるのです。

CTC測定は、このようながんの転移の有無や様子を判定するうえで非常に重要な測定法といえます。また、使用薬剤の効果の有無を判定する場合にも有力な情報を与えます。一方最近では、「CTCが見いだされた場合には、個々の1細胞中の遺伝子情報を調べることが重要である」との報告がなされており、さらに高度な分析技術が求められています。このような技術の確立によって、がんの進行プロセスを知る上で、あるいは、より的確な治療方針を決定する上においても、新しく的確な情報を提供できる可能性が膨らみます。

 

 

なお、本件に関するお問い合わせは、お問い合わせフォームよりお願いいたします。