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これからの病理診断|これって何?バイオコラム 第24回

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はじめまして、まめ太と申します。もも太からこのコラムの担当を引き継ぎました。皆さまと一緒に当社と当社グループ周辺の業界動向や最近よく聞くけど「それって何?」と思うことについて、その道のベテランの解説を交えながら、広く、時には深く掘り下げて学びたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。早速ですが今回は、熟練病理医のごろ太先生が、これからの病理診断のあり方と方向性について、日本病理学会から提示されている「国民のためのよりよい病理診断に向けた行動指針」を基に解説いたします。


最近の医療分野での技術進歩はまさに日進月歩で、クリニカルシーケンス、網羅的遺伝子解析など新しい遺伝子技術の導入によって患者さんの治療方針が大きく変化する時代が始まろうとしています。しかしながら、最終診断が病理診断であることは変わりなく、その診断結果は患者さんの治療方針に大きく関わっています。

「病理診断」は診療の方針を決める上で重要なポジションを担っていますが、その重要性に反し様々な課題を抱えています。診断の難易度を無視した一律の病理診断料体系や診療報酬請求制限を含む「診療報酬の不整合」、病理専門医の高齢化や都心集中型の地域格差などに起因する「病理専門医不足」など様々な問題があります。ちなみに、2016年時点での日本の病理専門医は2,362名です。この数は、人口10万人あたりの人数でアメリカと比較すると3分の1以下に過ぎません。更に、新規病理専門医数は数年横ばいで高齢化が進んでおり、病理専門医の平均年齢は約54歳で、今後5年以内で約300名が65歳以上となります。また、病理専門医の約36%が関東地区に集中する地域格差が進んでいます。

このような状況を是正する為に、日本病理学会では平成30年度診療報酬改定に向けた要望事項をまとめています。その内容は、エビデンスに基づいた難易度別診療報酬体系、医学生・研修医の実習・研修を奨励し、病理診断教育センターの設置など病理医の育成、テレパソロジーやバーチャルスライドなどのデジタルパソロジーの環境整備による地域医療支援体制の構築などです。また、がん個別化治療に対応したコンパニオン診断を確実なものとするため病理医の生涯教育を含めた病理診断精度管理の体制を整備していく必要があります。

その中で、デジタルパソロジー(以下、DP)について少し説明したいと思います。DPとは,病理診断材料のデジタル化・電子化を意味します。病理診断用に作製したプレパラートスライド標本の病理形態には患者さんの状態や病変などの膨大な情報が含まれています。その病理組織プレパラート標本全体を高精密に高速スキャンしデジタル化します(バーチャルスライドといいます)。デジタルデータをパソコン上で閲覧することで病理診断が可能となり、更には詳細なアルゴリズムを備えた画像解析装置によるER、PGR、HER2、EGFRなどの免疫染色陽性率の評価および遠隔診断や教育現場への採用など様々な活用が可能となります。今後の展開として病理診断の標準化や体外診断薬の適応の客観的判定など期待が大きい分野です。


当社では年間6万件の病理標本を作製する熟練した臨床検査技師の持つ職人的技術、常勤の経験豊かな病理専門医による診断、そして専門的 な技術が求められる免疫染色・FISH法による分子の可視化技術や定量評価技術、ばらつきの大きい臨床サンプルを用いた、臨床現場に密着した解析法のバリデーション経験など、これからの臨床試験で行われるバイオマーカー試験をトータルにサポートできる体制を整えています。


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