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ヒトパピローマウィルスって何?|これって何?バイオコラム 第23回

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お久しぶりです~臨床試験担当のまこりんです。今回はもも太に代わりまして『ヒトパピローマウィルスって何?』というテーマで、ヒトパピローマウィルスについてとその主な検査法をご紹介致します。

 

まずはじめに、ヒトパピローマウィルスについて説明いたします。ヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus: HPV)は100種類以上の遺伝子型が存在し、遺伝子型と感染部位によって口腔がん、舌がん、咽頭がん、食道がん、子宮頸がん、陰茎がん、肛門がんなどの悪性腫瘍の発生やコンジローマ、皮膚乳頭腫などの疾患に関与することが知られています。特に、子宮頸がんとHPVの関連性については世界中で多くの研究報告があり、子宮頸がん発生のほとんどにHPVの特定の遺伝子型が関与していることが明らかになっています。

子宮頸がんに関与するHPV遺伝子型は高リスク型HPV(発がん性HPV)と呼ばれ、16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、73型、82型などが確認されています。

高リスク型HPVに感染しても大部分は自然消失しますが、何らかの原因によって感染が持続した場合、初期感染から数年~十数年で前がん病変を経て約0.1%の感染者が子宮頸がんを発症します。高リスク型HPVの中でも特に危険度が高いのは16型と18型であり、子宮頸がんに進展する可能性が高く、また、感染した後の進展スピードが速いといわれています。

 

HPVの多くは性交渉によって感染すると考えられているため、性体験のある人ならば誰にでも感染の可能性があるといえます。近年、子宮頸がんの罹患率、死亡率ともに若年層で増加傾向にあるため、20歳以上の女性では細胞診による子宮頸がん検診の定期受診が推奨されています。検査の結果16型または18型の感染が認められた場合は、より確実に婦人科検診を定期的に受診し、経過観察する必要があります。

次に、HPVの感染を検査する具体的な方法についてご紹介いたします。HPV感染を検出する測定キットは数種類あり、1. HPV核酸検出 2. HPV核酸検出(簡易ジェノタイプ判定) 3. HPVジェノタイプ判定に分けられます。国内では、1、2は細胞診判定ASC-US※1の場合のトリアージ(患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと)として、3は病理診断CIN1、CIN2※2の場合の治療方針の決定に用いられています。それぞれの特性を理解したうえで、目的に合わせて検査法を選択する必要があります。

 

  1. HPV核酸検出

ハイブリットキャプチャーⅡ:HC-2(キアゲン社)が代表的で、高リスク型HPV13種を一括検出し、型の特定を行ないません。HC-2は歴史が古く、HPV測定のゴールデンスタンダード法として世界中で広く行なわれています。ターゲットはHPV遺伝子領域全てを対象とし、RNA プローブ※3を用いて検体中の"ターゲットDNA"と結合し"ハイブリッド"として検出します。

  1. HPV核酸検出(簡易ジェノタイプ判定)

コバスHPVシステム(ロシュ社)があり、14種の高リスク型HPVを検出します。高リスク型HPV14種のうち、特に危険度の高い16型と18型を個別に検出し、それ以外の型を一括検出します。コバスはL1遺伝子※4を対象とし、PCR法※5を原理としています。

  1. HPVジェノタイプ判定

高リスク型HPV13種を個別に検出し、型の判別が可能です。クリニチップHPV(積水メディカル社)はLAMP法と電流検出型DNAチップ法を用いて、また、MEBGEN HPV(MBL社)はPCR-rSSO法にて、それぞれ13種のHPV型を検出・型判別します。

 

最後に、当社のサービスについてご紹介いたします。

ジェネティックラボでは、医療機関様および研究機関様向けにHPVタイピング解析および、上記2のコバスHPVシステムを用いた子宮頸がんHPV検査を実施しております。

詳しくはこちら

自己採取HPV検査は、医療過疎地などの婦人科医師がいない地域などにおける子宮頸がんリスク検診の一つの策として実施可能な方法です。ジェネティックラボでは、自己採取HPV検査の有用性を検証するため、複数の婦人科医療機関にご協力をいただき医師採取法と自己採取法の比較試験を実施しました。その結果、HPV検査結果の一致率96.5%と、ほぼ同等の検査結果が得られ、その有用性が証明されております。医療機関が近くにない、受診する時間がないなどの理由によって子宮頸がん検診の受診が難しい方にお勧めしております。ご興味がございましたらぜひご利用ください。

PAPI'Qssホームページ

 

サービスの詳細はこちらからご確認ください。

関連サイトはこちらからご確認ください。

 

※1 ASC-US:子宮頸部の外側の部分を覆っている組織に異常な細胞を認める所見
※2 CIN1:子宮頸部の外側の部分を覆っている組織に異常な細胞を認める所見
    CIN2:子宮頸部表面の細胞に中等度の異常が認められる状態
※3 RNAプローブ:目的DNAに相補的な塩基配列を持つ核酸物質
※4 L1遺伝子:ゲノムの遺伝子発現調節領域の1つで、HPVでは初期遺伝子
   (E1, E2, E4, E5, E6, E7)と後期遺伝子(L1, L2)からなる
※5 PCR法:DNAを増幅するための原理またはそれを用いた手法

 

 

なお、本件に関するお問い合わせは、お問い合わせフォームよりお願いいたします。