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フジテレビドラマ『フラジャイル』ー病理×遺伝子解析|これって何?バイオコラム 第9回

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こんにちは、もも太です。2016年新春早々、フジテレビ系連続ドラマ水10枠に、TOKIOの長瀬智也さん主演の、医療エンターテインメント『フラジャイル』が放送開始されました(http://www.fujitv.co.jp/FG/index.html)。 見られた方も多かったと思います。このドラマの舞台設定が病院であり、当社の病理解析センターとの違いこそあるものの、病理診断科に限っては当社の業務に直接通じるところです。

宣伝するわけではないですが、どのようなドラマなのか調べてみると、長瀬さん演じる岸京一郎は、偏屈イケメン天才病理医。白衣はまとわず、常にスーツ姿。イケメンだが、偏屈で毒舌。歯に衣着せぬ物言いが敵ばかり作る。性格が悪いことを自覚しており、自分の診断がほかの医師と対立しようものなら、完膚なきまでに論破し、相手が降伏するまで徹底的に闘い抜く悪魔のような顔を持つ。だがその根底には、自らの名誉は一切求めず、【医師として最も重んずるべきものは医療の正義である】という熱い信念に溢れている、と紹介されています(http://www.cinemacafe.net/article/2015/10/19/34940.htmlから抜粋)。原作は、現在『アフタヌーン』(講談社)で連載中の同名漫画で、当社の常勤病理医もおすすめの漫画です。そんな訳で、

第9回目は「フジテレビドラマ『フラジャイル』―病理×遺伝子解析」をテーマに取り上げます。

ドラマで早速紹介されていたのは、迅速凍結切片の作製から診断までの場面でした。手術で切除したばかりの病変部組織を(小雪さんが)持ってこられて、検査技師さんが受取るとテキパキと、組織にOCT compoundと呼ばれる包埋剤を加えた後、凍結、薄切してプレパラート標本を作製し、染色しておりました。その後病理医(長瀬さん)が直ちに鏡顕し、「よし、問題無い!」と診断をした瞬間に、手術中の医師と患者さんが結果を待っている光景が目に浮かびました。これを「術中迅速診断」といい、当社でも近隣の病院やクリニック向けのサービスとして行っています。また当社では内視鏡によって採取された生検の迅速病理診断として「One Day Pathology GX超速病理診断」のサービスも行っています。

一方、通常の病理診断をする組織および術中迅速診断された残組織は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本作製へと進められます。このFFPE標本は、その名の通り、組織片を1日ほどホルマリンに漬け込んで固定し、その後パラフィンで包埋して固めたブロックにしておきます。病院の病理検査室では後年利用のため、この組織ブロックをほぼ永久保管しています。これをミクロトームと呼ばれるカミソリのついた手動式の薄切機で薄くスライスし、スライドガラス上に貼り付けたものを、FFPE(切片)標本と呼びます。近年、保存していた組織ブロックやFFPE標本の有効活用として、組織中の細胞の遺伝子解析を行う事によって、過去に得られた病理所見情報に新たな遺伝子解析情報を加えるという、融合的な研究が進んでいます。事実、これらの研究の成果は疾患の治療や予防に大きく貢献し、新たな個別化医療に向けた診断技術開発に利用されはじめています。

以前からFFPE標本の作製は、煩雑な過程を経なければならないため自動化が困難で、特別な訓練を受けた検査技師等の熟練技術者によって作製されています。スライドガラス上の標本は約3~4マイクロメートルと非常に薄い組織切片ですから、そこから抽出されるゲノムDNAやRNAなどの核酸は微量であり、またそれ自体が不安定であることから、その品質も低下しており、充分な感度と精度を有した遺伝子の定量的な評価は難しいとされていました。しかし、近年の核酸抽出技術や遺伝子増幅技術の進歩によって、網羅的な遺伝子解析をも定量的に実施できるようになっています。当社においては、長年の病理検査を培ってきた経験を基に、FFPE標本やパラフィンブロックから品質の良い核酸を抽出し、たとえ抽出量が少量であったとしても効率よく増幅して遺伝子解析できるように技術の改良を積み重ね、最終的に得られた増幅遺伝子の高品質を見極めた上で様々な遺伝子解析を行う事を可能にしてきました。

このように、われわれは、精度の高い定量的評価が可能な遺伝子解析の可能性を追求し、病理標本から遺伝子解析へと新たなサービスを確立しています。今後も、「病理」と遺伝子・タンパク質をはじめとした「分子」の互いの知見の融合から生まれるイノベーションを目指し、充実した解析サービスの提供を目指してまいります。

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